Wednesday 7 September 2016

ル・シャトー生活:べレムにお出かけ編




さて、バニョール・ドゥ・ローヌの次にペーターおぢさんがつれて行ってくれたのは、シャトーから100kmほど内陸に向かったところにあるべレム(Belleme) の街。ここで年に一度開かれるアンティーク・フェアーに連れて行ってくれた。最近は年のせいか長距離運転はいやがるPおぢさんだけど、アンティークを見るのならギリギリ我慢できる模様。



べレムは小高い丘の上にある、なんだか南フランスを思わせるオシャレ感満点の街でした。…と言っても私、南仏には一度も行ったこと無いんだけど。多分こんな感じかなー? と。シャトー近辺と何が違うんだろう? と思ってよくよく観察すると、窓のシャッターのデザインが違う。べレムのは、ブラインドみたいに横に切り込みが入っている。シャトー近辺の地域では、縦に板が並べてあって、それを斜めの板で止めてある。日光をさえぎるためというよりは、暴風、防寒対策なのかも?

この日は雲ひとつ無い晴天で、コバルトブルーの絵の具をそのまま絞って塗ったような青空だったので、それが余計に南仏っぽい感じを演出していたのでは無いかと思う。いやー、それにしても暑かった。Pおぢさんの住む地域より、100キロパリ方向に向かっただけで気温が3度くらい違う。内陸は暑い!






フェアの様子。朝の10時半くらいだったと思うけど、既にこの日差し。



右手に見える引き出しらぶ。




こういうのの、もっと大きいお風呂サイズのを買ってアネックスの前で行水したい!! 子供用のビニール・プールのようなカラフルなものだと、18世紀のアンティーク以外受け付けないPおぢさんに穴を空けられてしまいそうなので。



こういう自然博物史系のモノにはとことん弱い私です。あああ、こうやって貝に囲まれて生活したい。



 
おぢさんの友人、フランソワーズも出店していました。これは彼女のお店。




入り口で一度入場料を払えば、あとはフェアへの出入り自由なので、一度外に出てお昼ご飯を食べ、街の教会を見る。私はクリスチャンでは無いけれど、フランスの教会の中って、色々とゴテゴテ装飾的なものがあるので見てて面白い。

フェアに向かう途中で、ペーターおぢさんが「このフェアは、そこらのカーブーツよりもちょっと良いもの置いてるで。」と言うので、何もかもが高くて買えるもの無かったらどーしよー? と思ったけど、そんなことも無く、私もKotomiさんもペーターおぢも、それぞれ収穫がありました。私はデザートスプーンとかエスプレッソ・カップとか、割と実用的なモノを買ってた。

そして帰り道、おぢ曰く、今まで開いているのを見たことが無かった、というブロカントが開いていたので、そこにも寄ることに。



・・・そこで厚手の麻のシーツが激安だったので、二枚も買ってしまいましたよ…。これで一気に荷物が増えた・・・。



フェアで買ったエスプレッソ・カップ。か~わいいーー。こういう19世紀の愛らしいものは、Pおぢさんの目にはキッチュでダサいものの極みに映るらしく、激こき下ろされる。おぢは正直者なので、気に入らないモノは気に入らないと、はっきりすぎるくらいはっきり言うのだ。

Photo credit: kotomi creations

・・・なのでアネックスに遊びに来た時に、「コーヒーを淹れてくれんかの?」とご所望の折り、あえてこのカップで出してみた。いやーーーっ、似合わねぇーーっ。可愛いモノがここまで似合わないとはっ。まるで小人の国に遊びに来た巨人のよう。こういうものを嫌うのも無理ない。納得。

ところでPおぢさん、アンティーク・フェアではなくべレムの街のアンティーク屋で、アート作品を購入。それをアネックスの隣の納屋に設置し、納屋の外にきれいに咲いていたアジサイと共に動画を作って欲しいとkotomiさんに要請。それが下のビデオ。ビデオには人が出てきた方が面白かろうと、私も要請されてちらっと出ています。恥を忍んでで晒す。...でも期間限定にするかも…。

credit: Kotomi Creations

 

Sunday 4 September 2016

ル・シャトー生活:バニョール・ドゥ・ローヌにお出かけ編





さて、ガーデニングのお手伝いで中年娘っこ達がよく働いたご褒美に、ペーターおぢさん、まずはバニョール・ドゥ・ローヌに連れて行ってくれました。この街、リューマチ、女性の疾患、循環器系に効く温泉が湧くとかで、古くは中世から、ここに治療に訪れる人で賑わったとか。一時期、一世を風靡した、でも落ちぶれた、ひなびた温泉街という感じの漂う、ゆるい感じの落ち着いた良い街です。

なんでも伝説では、「ラピッド」(速駆け号、とでも言うか)という立派な馬を飼っていた地元の名士ユーグ卿、馬が年取ってきてあんまり走らなくなったので、バニョール界隈に捨てていった(ヒドイ)ところ、馬はすっかり回復して若々しくなって戻って来た。律儀な速駆け号、捨てられたことを恨むでもなく、飼い主を奇跡の水の湧くバニョールに連れてきて、「この水を飲むです。」と飼い主に教え、飼い主も若返り、以来バニョールは温泉地として栄えたとか。




街自体の規模は小さくて、お店の集まるメイン・ストリートを抜けると湖があり、…えーと、そんだけ。左手に見えるのはカジノ。そこに至るまでの道筋にも何軒かお店があるようだけど、そちらの方には行かなかった。



この街に来ると、行くところは決まっていて、まず地元の(ちょっとお高い)アンティーク屋をチェック、そしてアイスクリームを食べ、チョコレート屋を冷やかし、帰りにパン屋でお茶とケーキ、そしてクロワッサンかミルフィーユ、またはその両方を買って帰る。それだけしかすることないんだけど、ここに来るとなぜだか「お出かけしましたーーっ、行楽しましたー」っていう満足感のある、何気に浮かれた雰囲気の漂う街。

バニョールには今でもスパがあって、昨今の風潮にあわせて、湯治客以外のお客さんにも、泥パックやマッサージ、シードル・ジャクージなどの半日コース、一日コースと色々なメニューがあることを発見!ノルマンディに来るようになった5年前にはそんなの無かったっ。これは新しい展開。シードル風呂ってどんなんやー?入ってみたい。

庭仕事たくさんやったら、ペーターおぢさん、連れてきてくんないかなーーーっ・・・と、kotomiさんと共に希望に満ちたキラキラした目をおぢさんに向けてみたんだが、「わしは、そーいうタクシーはやらん」と、無下に却下される。ご褒美の行き先を決めるのは、あくまでPおぢなのだ。そして目的地は、あくまでPおぢさんも興味を持てる場所であらねばならぬのだ。

・・・ということで、バニョールでアイスクリーム食べてお茶して、娘っこがきゃっきゃするのに付き合うだけでは微妙に物足らないおぢさん、ついでに近くの古い城跡で、塔だけが残っているラ・トゥール・ドゥ・ボンヴーロワ(La Tour de Bonvouloir) にも連れて行ってくれました。



まわりに何も無いところに、「これ、明らかにプロポーション変やん?」っていう、妙に細くて高い見張り塔が建っている。なんとこの塔にも、バニョールで馬を捨てたユーグ卿の伝説があった。馬に教えられた奇跡の湧き水で若さと精力を取り戻したユーグ卿、ボンヴーロワ嬢と結婚し、沢山の子供をもうけたとか。そのような若返りを記念して、大変イミシンな形のこの塔を建てたそうな。フランス人、どうしても話をそっちに持って行きたいのか?




実際には1485年に建てられたというこの城、塔と鳩小屋など一部の建物だけが、良い状態で残っている。塔は高さが26メートルあるとか。








鳩小屋とその内側。最初から鳩小屋として使われていたのでは無く、最初は城の一角をなしていたらしい。




城跡のまわりを散歩してたら、お馬さんが寄ってきたー。君はもしかして、は、速駆け号?!・・・てちゃうちゃう。

鳩小屋の横の建物は売店になっていて、シードルやりんごジュース、洋ナシジュースを売っていたので、ここで洋ナシジュースを買って帰ってきました。下はタワーのまわりぐるりの映像。


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次回は、べレム(Belleme) にお出かけ編です。

Tuesday 30 August 2016

ガーデニングな日々@ル・シャトー





前回書いたように、ル・シャトーの敷地は広い。毎年「お、今年はここがキレイになっているな」とか、「去年はきれいに刈ってあったけど、また雑草が随分茂ってるな」とか「ここ、新しくアジサイを植えたんだな」とか、その様子は訪れるたびに変わっている。Pおぢさんは去年、よく働くガーデナーを見つけて雇い入れ、週に一度庭仕事に来てもらっているけれど、それでもまだまだ夏の間にやる事は果てしなくある。





ジャム作り用に摘んだカラントは、屋敷の裏側に植えてある。カラントを摘んでいる時にペーターおぢが、「この間な、ルイ(庭師)が来て屋敷の裏の蔦をばっさり刈っていったんやがな、刈りっ放しで下に落ちとる枝を嵐が来ないうちに何とかせんとかん。前に放っておいたら大雨が降ってな、排水溝が枝で詰まって、屋敷の中に水が入ってきたことあるんや」と言って、雨どいから雨水が流れていくようになっている排水溝が、刈り落とされた枝で埋もれているところを指差す。

 そのように指差されたからには、何とかせんといかんわなぁ、というわけで、私とKotomi さん、ガーデニング用の手袋と鋤と一輪車を借りて、早速落ちている大量の枝を集めに取り掛かる。Pおぢ一人だと、作業も時間がかかるだろうけど、三人一緒だとはやいはやい。ビフォー・アフターの写真が無いのが悔やまれるけど、屋敷の裏は2時間もしないうちにこざっぱり。



一区切りついたあたりで小雨が降り出したので、本館裏手にくっついているサマー・ルームで雨宿り。猫のプシャーもどこからか現れて参加。



おぢも今年の11月で80歳だし、あんまり無理が利かなくなってるんだろうなー、ということで、Kotomi さんと私の間で、出来るだけ庭仕事を手伝う事に決定。

という事で、次に何をして欲しいかおぢさんに聞いたところ、アネックスの隣の納屋の前に茂っていたドック(日本だと、ソレルとかスカンポと呼ばれる雑草の類だと思う)を刈ったままにしてあるのを集めるという作業をおおせつかる。ここは二日かけて終了(・・・と言っても、丸二日たっぷりではなくて、大体一日2時間~3時間半くらいの仕事)。そして次に、その隣の空き地に茂っているドックを、根元から刈り取るという作業。ドックは根っこが深くて、根こそぎズブっと引っこ抜くのは無理なので、出来るだけ株元に近いところから刈り取っていく。



その作業中のKotomi さん。



あああ、なんだか随分遠くの方に…。遠くでしゃがんで作業していると、草むらに隠れて麦藁帽しか見えない。Pおぢ「お、遠くに麦藁帽が落ちとる。お、その下に人が居ったわ。」

このようにして刈り取った雑草や集めた刈りくずは、敷地内の目立たない場所で山盛りにして焼く。



山と積まれた刈りくず。



火を付けて焼くペーターおぢ。

 

おぢが30分程用事で外出すると言うので、火の番をおおせつかる。ペーターおぢは今までこうして焚き火をして、火が周りの枯れ草に燃え広がってヤバかった、という事が二度あり、そのうち一度は消防車も来たというので、真面目に火の番に取り組む私であった。なんだか土方のおっさんみたいだな。




燃えております。



用事を済ませて戻ってきたおぢ、自転車で登場。


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自転車のおぢ、動画編。「消防車は来てへんな?」「来てませーん」。ここの地面、結構でこぼこしてて、バランス取るのが大変だ。それをコケることなく乗りこなすおぢ、若干79歳。かなり運動神経が良いと見た。

毎日こうして外でお日様に当たって自然に近い生活をしていると、私あっという間に野人に戻ってしまいそうです。トラのパンツで木登りしてフルーツ食べたり、地面を走り回る自分の姿がありありと目に浮かぶ…。

ところでペーターおぢさん、意外と律儀で、借りた恩は返さにゃならぬ、と思ったのか、私達がガーデニングするたびに、自動車でどっか連れてってくれました。・・・私としては、毎年タダで泊まらせてもらってるんだし、おぢさんも身体に無理の利かないお年頃だし、お返しなんてまったく期待していなかったのですが。というわけで、次回はお出かけ編。




オマケ:お天気が良いので洗濯ものが良く乾く。背景が緑だと、洗濯ものもなぜだかオシャレに見える不思議。しかし物干し用のライン、高っ。

 

Sunday 28 August 2016

ル・シャトーの敷地


ル・シャトーの敷地は広い。全部で4エーカー、約1.6ヘクタールあるとか・・・そんなこと言われたって、ピンと来ないので、よく広さの比較に使われる甲子園球場のグラウンド面積を調べてみたら、13,000平方メートルだった。ということは、ル・シャトーの敷地、甲子園球場よりも3,000平方メートルも広いということになる。



このドライブ・ウェイを抜けると、シャトーが目前に姿を現す。


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ビデオ・バージョン。22秒。Pおぢさん、ビデオ撮影中なのを分かっていて、「ここにはな、突然ピンクのゾウが出たことあるんやで。どぎついピンクのゾウやったで」とコメントしております。




ずばばーーんっ…とな。




これは本館の横の憩いスペース。




これは本館から、私達の滞在するアネックスへの途中にあるワイルド・フラワー・ガーデン。その向こうに見えるのは、敷地内に点在する納屋の一つ。この納屋にはフクロウが来て子育てをするので、ふくろう用に大きな鳥小屋が屋根の近くにかけてある。今年は3羽孵化したけど、2羽は死んじゃったとか。残る1羽は無事に巣立った模様。




これもアネックスへ向かう途中にある、フォーマル・ガーデン風の生け垣。向こうに見えるのは本館。


 
私達の宿泊するアネックスは、敷地の一番はずれにある。アネックスの前に生えている三本の樫の木は、ペーターおぢさんが植えたのではなく勝手に生えて来たのを、大事に育てているとか。



 
本館裏手、アネックスとは反対の方向にある納屋。この向こう側にも敷地が広がっている。アネックスから遠いので、あまんり足が向かない。ペーターおぢさん本人も、この納屋の向こう側はほとんど行ってない印象。



上の納屋の奥、あんまり省みられない敷地の遠くの端を臨む。この突き当たりには、庭仕事で刈られた草や木の枝が山をなしている。



 
こちら、アネックスの隣にある納屋、プレソワ/Pressoir。昔はここで、シードル用のりんごが絞られていた。床面積が結構あるので、私はここでバレエの練習したり、kotomi さんはズンバや太極拳やったりと、体育館と化している。Pおぢさんの住む本館は、左手奥に見えるきれいに刈り込まれた植木の、そのまた向こうにある。

ル・シャトーの敷地は豊かに木々が茂っていて実に気持ちが良いけれど、実はこれ、ペーターおぢさんが植えたものがほとんど。Pおぢさんが屋敷と敷地を購入した時は、何本かの木々を除いては何も生えていなくて、屋敷の回りは荒涼とした大地がのっぺりと広がり、崩れかけの納屋が点在している状態だったとか。そこに膨大な本数の木々や植物を植え、使える納屋には手を入れ、使えない納屋は引き倒し、今のような状態までにしたわけだけれど、屋敷と敷地の手入れは今現在も果てしなく続く。というわけで次回は庭仕事を手伝ったお話。

オマケ。物好きな人用に、敷地内の動画のリンク。


体育館納屋からアネックスへ。一分。

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ル・シャトー正面門からドライブウェイを臨む。43秒。

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ル・シャトー正面の庭。14秒。

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Thursday 25 August 2016

ル・シャトーでフルーツ狩り&ジャム作り

 
 



ふはー。先週、ノルマンディーから帰ってきました。ル・シャトー滞在中にブログ更新するつもりでいたのに、まったくの放置プレイとなってしまいました。いやー、今回の滞在はお天気が良くて、おまけに頼りにしていたiPadのブログ更新アプリの動作がガタガタしていて、なんかもういいやー、って気になってしまった。でも旅先でつける絵日記は、ほぼ毎日つけていました。これもそのうち公開しようかなぁ、と思います。

いやぁ、今回のル・シャトー滞在では良く働きましたよ。まずはその一段、ジャム作りに使うレッド・カラント摘みと、城主ペーターのジャム作りの様子。まぁ、フルーツ摘むのはお遊びみたいなもんですが。これが発展して、なし崩し的にガーデニングを手伝う、という方向に発展して行った感じです。



今年はサクランボやプラムは不作でまったく実をつけなかったとかで、その代わりと言ってはなんだけれど、レッド・カラントが、つやつやのプリプリした大きな実を沢山つけました。もうホントに、透明感のある真っ赤な実が累々と実っている様子は、天然のルビーが沢山木からぶらさがっているみたいで、どきどきする美しさなのですよ。




・・・と同時に狩猟採集民族魂を刺激される・される。大量に収穫できてホクホク。毎回この大きさのボールに一杯収穫して、ジャムの瓶に5本くらい出来る。それが三回か四回分くらいは採れたはず。ペーターおぢさんは、まず収穫したフルーツを洗って水を切り、実際のジャム作りは次の日の早朝に行うので、次の朝は早起きしてシャトー本館に駆けつけました。あ、これは特に手伝うためではなく、ジャム作っているところを見たかったから。




  
・・・ジャムに使う砂糖の量、ハンパねえ。このようにまず、どかかかかっとフルーツに砂糖を投入、一時間くらい弱火で放置。そしてもう一度、砂糖投入してたような。



プラムが三つ余っていたのでそれも投入。・・・こういうアバウトさが、いかにもホームメードっぽい。


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砂糖と共に煮詰めたら、この手動機械で種を取り除く。

 

Kotomi.creationsさん、作業記録中。










 種を除いて滑らかになったジャムを、大量の空瓶コレクションの中から選ばれたジャム瓶につめて出来上がり。下はジャム作りダイジェスト版ビデオ。2分44秒。途中でPおぢさん、「7本出来るかと思ったのに5本しかできんかった」と言っております。

実にガテン系なジャム作り。でもペーターおぢさんの手作りジャムは、果物の天然の美味しさがそのまま瓶に詰められていて、ほんっとに美味しい。    




オマケ。今年は木苺も大豊作ーーー。でも去年より丈が高くなったので、はしごに上って食べる。エビガライチゴと呼ばれるこの木苺、とろとろで固まらないのでジャムにはならないそうです。今回はこの木苺が赤く実りだす頃に到着、毎日食べて、シーズン終わる頃に帰って来ました。