Saturday 31 October 2015

ハロウィーン



今夜はハロウィーンという事で、巷には色んなオバケが徘徊しております。ハロウィーンはもともと伝統的なイギリスのお祭りでは無く、アメリカから渡ってきたものと聞いているけど、もうイギリスでもすっかり定着した模様。ご近所さんでは、玄関先にくり抜いたカボチャを飾っている家も何軒かありました。

ハロウィーンの晩は、オバケに扮した子供たちが近所の家を回って "Trick or treat!?" (お菓子くれなきゃイタズラするぞ)、と、お菓子をせがんで回る趣向だけれども、ウチには回って来た事がない。





ひょっとして、玄関先にカボチャを飾ってある家は、回ってヨシ!それ以外の家は不参加とみなし、回ってはイケナイ、という暗黙の了解でもあるのだろうか?

それともあらかじめ、PTAとかで、学童の居る家だけ回る様に決めてあるのだろうか?

来年はウチでもカボチャを用意して、果たしてそれが暗号になっているのかどうか、試してみようかな。

Thursday 22 October 2015

カンバーバッチのハムレット、そしてスマウグ



 
 
ハムレットのレビュー続編、2週間も放置してしまいましたが、続きです。カンバーバッチのハムレットは、躍動感に溢れる若々しくて元気の良いハムレットでした。ハムレットって、大昔に一度か観た事があったような気がする、それも日本の武士バージョンだった、くらいなので、他の人はどんな役作りをしてるのか、さっぱり知らない訳ですが。あと、「この人、どんだけ父親好きなの?!」と思いましたよ。
 
カンバーバッチは身のこなしが実に軽い。狂ったフリの時は、おもちゃの兵隊さんに扮してカクカク、きびきびした動きを見せたり、静の演技から動の演技に移る時の素早さとか、テーブルの上にひらりと音も立てずに軽々と飛び乗ったりとか、割と上背のある人なのに、あんまり重力に引っ張られている感じのしない動きをする。ジムで相当鍛えてるのかな~。
 
 
 
 
 ところで私がカンバーバッチにハマったのは、人気テレビドラマ、シャーロックの演技で、シャーロックのエキセントリックぶりの表現が尋常でなく上手いから。もはや私の中で、カンバーバッチ=シャーロックみたいに変換されてしまっているような状況。で、ハムレットにもそういうヘンぶりをちょっと期待してたところがあるんだけれども、割と普通の人間だったなぁ。
 
 それに、ハムレットを観に行く前に、YouTube でこんな動画を見つけてしまっていた。映画「ホビット」で、山の洞窟に住み、金銀財宝を守るドラゴン、スマウグの声の吹き替え録音の模様。声だけでなく、身体の動きをドラゴンのアニメーションに転移させて再現するため、もじもじ君みたいな衣装にモーション・キャプチャー用のパッチを体中に貼り付けてスマウグの演技をするカンバーバッチ。動きがコモドオオトカゲみたいだー。完全に竜が憑依してる。ずっと腕立て伏せ状態の演技なのに、ホント、体力あるわ、この人。
 
(ちなみに本でホビットを読んだ時の私の中のスマウグって、どこか抜けてて憎めないイメージだったんだけど…このスマウグ、こえーよ。)
 
 
 
 
そして この人、英語の発音がめちゃくちゃ綺麗なので、えっらい高尚なドラゴンになってる。目を閉じて声だけ聞いてたら、それこそシェークスピアの劇中の独白を聞いているみたい。なんか、観に行ったハムレットよりも、このスマウグの方が、実は私の中のシェークスピア劇像にマッチしてたりする。
 
でもハムレットを、映画やテレビではなく舞台でやりたいっていうのは、カンバーバッチって真面目な役者さんなんだな、と思う。しかし次回はぜひとも、スマウグ級の変人の役を、生の舞台で見てみたい。
 

Thursday 8 October 2015

カンバーバッチのハムレット@Barbican Theatre



8月5日から10月31日まで上演中のベネディクト・カンバーバッチ演ずるハムレット、1年前にチケット発売と同時に売り切たって話だけれども、当日のリターン・チケット無いかな〜と、何気にウェブでチェックしてみたら、運良く一枚買う事が出来た。リターンって案外出るものなんだなぁ。手数料を入れて£98という大枚をはたくことになったけど、生のカンバーバッチの演技を見る機会なんてそうそう無いだろうから奮発しました。巷の非公式なダフ屋ウェブサイトでは、£1,000を超す値段を付けている所もある事を思えば定価で買えてラッキー、と思っておこう。



しかし私、シェークスピアって、バレエで観るロミオとジュリエットくらいしか知らないので、演劇となると馴染みがとても薄い。シェークスピア劇って、チャンチャンばらばらで最後はみんな死ぬ〜、みたいな大雑把な印象しかなくて(それ、大雑把すぎ)、なんなら頭の中でハムレットとマクベスとリア王ががごちゃまぜになってたりする。 なので行く前にあわてて粗筋を調べましたよ。




簡単に筋をまとめると、ハムレットの父であるデンマーク国王が急死、その直後に王妃であったガートルードは、国王の弟、ハムレットの叔父さんにあたるクローディウス新王と結婚する。ファザコンのハムレットは母が父の喪も明けぬうちにとっとと再婚したのが気に入らない。そんなところへ父王の亡霊が現れ、自分はクローディウスの策略で殺されたとハムレットに告げる。真実を知ったハムレット、父の仇を討つべく、復讐の炎に燃える。それから、ハムレットは狂人のフリをしたり、元恋人のオフィーリアの父ポローニウスをうっかり間違って殺してしまったり、オフィーリアがホントに狂ったり、えー、色々あって、結局最後に一族郎等、刺し違え・毒殺などで関係者一同みんな死ぬ。そこにやって来たノルウェーのフォーティンブラス王子、デンマークも自分の王国に加える事にする。

…ていうかフォーティンブラス王子にとってこの話、めっちゃ美味しくないですかー?身内同士で殺し合って全滅したところにひょっこり現れ、自分の手を汚さずデンマークがそっくり手に入るって、まさに漁夫の利。ひょっとしてあなたが全部仕組んだんじゃぁ…?って、なんか私の脳みそは勝手な方向に突っ走る。教訓は、「家族は仲良くね」ですか?って、いや、そういう話じゃないんだろうけど。

このハムレット、舞台設定は中世ではなく、近代のいつか。1930年代頃かなぁ、という印象。登場人物は普通に服を着ていたり、軍服を着ている。周囲では戦争が起こっているらしい。


Ciarán Hinds as Claudius


肝心の劇の感想。比べる対象がないので自分の受けた印象しか無いですが。ハムレットの父王を謀殺し、まんまと王国と王妃を手に入れたクローディウス、「ぬしも悪よのう」的な悪代官ぽっさがあった。見るからに腹黒そう。上手くいかなかった場合を考えて、最低でも第三プランくらいまでは練っていそうです。ま、それが裏目に出て、ハムレットに飲ませるはずの毒杯を王妃が飲んじゃって死んじゃいますが。でも根っからの悪というクローディウスでは無かったな。欲得に目が眩んだ中堅政治家が、大きいとこ狙っちゃった、って感じでしょうか。


真ん中がポローニウス役のJim Norton


宰相ポローニウス。人の良い初老のおじさんって感じだったんですが、 ポローニウスって一般的にそういう性格として描かれるものなのかな。それともこの俳優の役作りでそうなってるのかな。先王とはウマが合ったかもだけど、こういう良い人は腹黒いクローディウスとは反りが合わないだろうから、生き残ったとしてもどっかに左遷されるんじゃない? でも間違って刺されちゃったのがお気の毒ではあった。そういう気持ちにさせるポローニウスでした。


Anastasia Hille as Gertrude

ハムレットの母、王妃ガートルード。ハムレットに罵倒される場面で、自分の内面に沸き起こる罪悪感をハムレットにぶつけるかのような激しい雄叫びは、奥さん更年期ですか イギリス人女性ならではの大迫力。フェミニンだけど同時にサッチャー元首相を思わせるような存在感のある王妃でした。


真ん中がオフィーリアのSiân Brooke


オフィーリアは、前半、この時代ではまだ珍しかったであろうカメラを手にして写真を撮ってまわったり、話し方の感じもサバサバした、現代的な若い女性って感じで、ハムレットにフラれ父に死なれて精神的に参ってしまって狂う、というような神経の細さを持ち合わせているタイプには見えなかった。狂ったオフィーリアの演技も、あー、こういう狂女の表現、ありがちだよねー、という月並みな演技に私には思えた。辛口だけど。もっと観るものがゾっとする様な、鬼気迫る狂女の新しい表現って無いのかな。


Leo Bill as Horatio


ハムレットの親友、ホレーシオ。この、ギャップ・イヤー*の旅行から帰ってきたところです、的な風貌が重苦しい空気に要所要所で風を通していた。(*イギリス人の若者の間では、高校から大学に進む間の一年又は大学から就職する間の一年休みをとって、バックパックを背負って世界を見に出かける、という慣例がある。これをギャップ・イヤーと呼ぶ) 個人的に、この飄々とした正直者のホレーシオが出てくると、なんかホッとしました。写真では随分シリアスに写っているけど。

なんか長くなってきたので、トリのカンバーバッチは次回にします。
 

Saturday 3 October 2015

お昼寝大ちゃん


今日の大ちゃん。南向きの窓辺に置いてあるビューロー(西洋風文机)の上でゴキゲン昼寝中。




時々目を覚まして毛繕い。



大あくびして、また寝る。



…と思ったら起きた。お座り姿でクルっと巻き込んだ尻尾がお行儀がヨロシイ。


方向転換してまた寝る。猫は寝るのが仕事。大ちゃん、全力で仕事に励む、平和な土曜日の午後。





オマケ。先日の写真。床に落ちたダウン・ジャケットの上でゴキゲンな大ちゃん。いつもお仕事にぬかりない。