Saturday 4 June 2016

「白鳥の湖」ドレス・リハーサル@ロイヤル・アルバート・ホール



現在公演中のイングリッシュ・ナショナル・バレエのSwan Lake in the Round、開演前日のドレスリハーサルを観に行ってきた。

ロイヤル・アルバート・ホールの楕円形の客席部分を舞台に演じられる、デレク・ディーン版白鳥の湖、運動場かと思うほど広い舞台を埋め尽くす、60羽を超えるコールドバレエの白鳥が見所。


広っ。
 


本番の公演は通常7時30分開演に対し、ドレス・リハーサルは7時スタート。ドレス・リハーサルなので、ダンサーがメイク無しの場合もあります、ご了承ください、とチケットに印刷してある。

最近、ロイヤル・バレエはオペラ・ハウスの会員向けにドレス・リハーサルのチケットも販売していて、友人からチケットが回ってきて観に行ったことがあるけれど、ロイヤルのドレス・リハーサルはほぼ本番と同じで途中止まることは無かった。本番と違うところと言えば、見せ場で取材のカメラマンがシャッターをきる、カシャカシャカシャカシャっという音がしていたことくらい。

これに対し、イングリッシュ・ナショナルのは本気のドレス・リハーサルで、途中止まることもあるらしい。そういうの、いかにも裏場面を見ているみたいで面白そう。

 



リハーサルで主役を踊ったのは、ジーグフリードがキューバからのゲスト、オジエル・グネオ、オデット/オディールがアリーナ・コジョカル。お、コジョカルまだ踊ってるんだ。ラッキ!とはいえ、最近本番でフェッテを失敗したと聞いているので、ちょっとドキドキ。

第一幕の村人達が楽しそうに踊るシーン、現場監督(と言っていいのか? 全体を見渡しているコーチ ) から時々マイクで名指しで指示が入る。「○○、もう少しアップステージに動いて」とか、「○○、遅れてる」とか…。よっく見てるよなーーーー。それに、エキストラも含め全員の名前を覚えてるってすごいわ。

キューバ・ボーイのオジエル、私の主観だけど、海賊とかの元気ハツラツな役回りの方が向いている、と思う。白鳥の王子様役は・・・うーーん、どっちかっていうと、もう少し足が長くてアラベスクの線がキレイに出る人で見たいなあ。あと、怪我をしているのかな? と思うほど、片方のつま先が妙に内向きで、第一幕のアダージョはあんまりきれいに見えなかった…。三幕の舞踏会シーンでのソロはばっちりキメてたけど。この会場、360度の全角度から見られているので、逃げも隠れもできない。舞台前面からだけ見るのだったら多分気にならない欠点が、ものすごく目につく。ダンサー泣かせだよねえ。酷だなあ。




見せ場の二幕。60羽の白鳥たち、ほんとによく揃っていて圧巻!でした。キレイだったーー。最初に出てくる時、ドライアイスの煙で床が覆いつくされていて、目印になる床の線が見えない状態なのに、よくみんなまっすぐ走れるよねー。まるで万華鏡を見ているみたい。一体どれだけ練習したことやら。それでも途中で黒子みたいな人に、こそっと位置を直されてる人もいた。そんなの素人目にはどこがずれてるのか、ぜんぜん分かんないですけど。完璧というのは存在しないけれど、それでも完璧を目指すのよねえ、バレエって。

この群舞の白鳥たち、これから公演期間の二週間、昼はリハーサル夜は本番と、毎日二回通しで踊らなくてはならないとか。ひゃー、ナニそれ、現代版女工哀史ですか?  みんなつま先大丈夫かしら。エキストラで入ってる子たちは、バレエ学校の学生が結構居るという話だけど、こういう勢いで身体を酷使できるのって、若いからこそだよねー。みんながんばれー。




三幕、舞踏会のシーンは、まだ場所取りがしてなかったらしくて、まずそれぞれのダンスでざっと立ち位置を確認してから通しのリハーサルが始まる。レッグウォーマーをしたままのダンサーも多くて、いかにもリハーサルっぽーい。ナポリのパ・ドゥ・ドゥーの人たち、最後の最後まで練習してた。気合入ってる。

コジョカルは適度に肩の力を抜いて踊ってた感じですが、フェッテはちゃんと32回失敗なしで回れてたのでほっ。・・・でも全部シングルだったけど。昨今、ダブルやトリプルを入れて回るのが当たり前になってきてるので、シングルだけだとイマイチ見ごたえがない。一部、身体能力がずば抜けて高いダンサーが、人間の身体の限界をどんどん超えて行くと、観客もそれを期待するようになっちゃうからバレエの世界ってほんとキツイな、と思う。

・・・と言いつつ、この「白鳥の湖」、群舞だけでも一見の価値あり。

6月12日までです。チケットはこちら






 

 

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