Thursday 8 October 2015

カンバーバッチのハムレット@Barbican Theatre



8月5日から10月31日まで上演中のベネディクト・カンバーバッチ演ずるハムレット、1年前にチケット発売と同時に売り切たって話だけれども、当日のリターン・チケット無いかな〜と、何気にウェブでチェックしてみたら、運良く一枚買う事が出来た。リターンって案外出るものなんだなぁ。手数料を入れて£98という大枚をはたくことになったけど、生のカンバーバッチの演技を見る機会なんてそうそう無いだろうから奮発しました。巷の非公式なダフ屋ウェブサイトでは、£1,000を超す値段を付けている所もある事を思えば定価で買えてラッキー、と思っておこう。



しかし私、シェークスピアって、バレエで観るロミオとジュリエットくらいしか知らないので、演劇となると馴染みがとても薄い。シェークスピア劇って、チャンチャンばらばらで最後はみんな死ぬ〜、みたいな大雑把な印象しかなくて(それ、大雑把すぎ)、なんなら頭の中でハムレットとマクベスとリア王ががごちゃまぜになってたりする。 なので行く前にあわてて粗筋を調べましたよ。




簡単に筋をまとめると、ハムレットの父であるデンマーク国王が急死、その直後に王妃であったガートルードは、国王の弟、ハムレットの叔父さんにあたるクローディウス新王と結婚する。ファザコンのハムレットは母が父の喪も明けぬうちにとっとと再婚したのが気に入らない。そんなところへ父王の亡霊が現れ、自分はクローディウスの策略で殺されたとハムレットに告げる。真実を知ったハムレット、父の仇を討つべく、復讐の炎に燃える。それから、ハムレットは狂人のフリをしたり、元恋人のオフィーリアの父ポローニウスをうっかり間違って殺してしまったり、オフィーリアがホントに狂ったり、えー、色々あって、結局最後に一族郎等、刺し違え・毒殺などで関係者一同みんな死ぬ。そこにやって来たノルウェーのフォーティンブラス王子、デンマークも自分の王国に加える事にする。

…ていうかフォーティンブラス王子にとってこの話、めっちゃ美味しくないですかー?身内同士で殺し合って全滅したところにひょっこり現れ、自分の手を汚さずデンマークがそっくり手に入るって、まさに漁夫の利。ひょっとしてあなたが全部仕組んだんじゃぁ…?って、なんか私の脳みそは勝手な方向に突っ走る。教訓は、「家族は仲良くね」ですか?って、いや、そういう話じゃないんだろうけど。

このハムレット、舞台設定は中世ではなく、近代のいつか。1930年代頃かなぁ、という印象。登場人物は普通に服を着ていたり、軍服を着ている。周囲では戦争が起こっているらしい。


Ciarán Hinds as Claudius


肝心の劇の感想。比べる対象がないので自分の受けた印象しか無いですが。ハムレットの父王を謀殺し、まんまと王国と王妃を手に入れたクローディウス、「ぬしも悪よのう」的な悪代官ぽっさがあった。見るからに腹黒そう。上手くいかなかった場合を考えて、最低でも第三プランくらいまでは練っていそうです。ま、それが裏目に出て、ハムレットに飲ませるはずの毒杯を王妃が飲んじゃって死んじゃいますが。でも根っからの悪というクローディウスでは無かったな。欲得に目が眩んだ中堅政治家が、大きいとこ狙っちゃった、って感じでしょうか。


真ん中がポローニウス役のJim Norton


宰相ポローニウス。人の良い初老のおじさんって感じだったんですが、 ポローニウスって一般的にそういう性格として描かれるものなのかな。それともこの俳優の役作りでそうなってるのかな。先王とはウマが合ったかもだけど、こういう良い人は腹黒いクローディウスとは反りが合わないだろうから、生き残ったとしてもどっかに左遷されるんじゃない? でも間違って刺されちゃったのがお気の毒ではあった。そういう気持ちにさせるポローニウスでした。


Anastasia Hille as Gertrude

ハムレットの母、王妃ガートルード。ハムレットに罵倒される場面で、自分の内面に沸き起こる罪悪感をハムレットにぶつけるかのような激しい雄叫びは、奥さん更年期ですか イギリス人女性ならではの大迫力。フェミニンだけど同時にサッチャー元首相を思わせるような存在感のある王妃でした。


真ん中がオフィーリアのSiân Brooke


オフィーリアは、前半、この時代ではまだ珍しかったであろうカメラを手にして写真を撮ってまわったり、話し方の感じもサバサバした、現代的な若い女性って感じで、ハムレットにフラれ父に死なれて精神的に参ってしまって狂う、というような神経の細さを持ち合わせているタイプには見えなかった。狂ったオフィーリアの演技も、あー、こういう狂女の表現、ありがちだよねー、という月並みな演技に私には思えた。辛口だけど。もっと観るものがゾっとする様な、鬼気迫る狂女の新しい表現って無いのかな。


Leo Bill as Horatio


ハムレットの親友、ホレーシオ。この、ギャップ・イヤー*の旅行から帰ってきたところです、的な風貌が重苦しい空気に要所要所で風を通していた。(*イギリス人の若者の間では、高校から大学に進む間の一年又は大学から就職する間の一年休みをとって、バックパックを背負って世界を見に出かける、という慣例がある。これをギャップ・イヤーと呼ぶ) 個人的に、この飄々とした正直者のホレーシオが出てくると、なんかホッとしました。写真では随分シリアスに写っているけど。

なんか長くなってきたので、トリのカンバーバッチは次回にします。
 

4 comments:

  1. あらっ、Norikoさん、『人間界の大ちゃん』を観に行ってきたんですね!

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    1. そーなんす。人間界の大ちゃんは、やっぱり顔がヘンだ。チャーミングなところは共通してるけど。

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  2. チケット取れてよかったですね!縁があったのね。
    わたしは映画館ライブもまた見ちゃった。
    クローディウスは腹黒感がすばらしかったですね。
    ポローニウスはああいう愛すべき爺ちゃんのことが多いと思う。かなりセリフ削られてたわ~。
    ガートルードは難しい役どころですよね。
    で、ベネディクト・ハムレットの感想は?

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    1. 割りにマメにリターンをチェックしてたら出てきました。取れるもんですね。

      映画館ライブはどうでしたかー?

      ろきさんの歴代のハムレットレビューも読みましたよ〜。凄すぎる。どんだけハムレット好きやねん。ちなみにカンバーバッチの感想、さっきアップしました。

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